【医師監修】サフランはストレスと睡眠に効果ある?研究論文10選

サフランは、ヨーロッパの地中海沿岸を原産とする世界一高価なスパイス”とも言われているハーブの一種です。サフランは、勃起機能、性欲、ストレス、睡眠と男性機能を総合的にサポートしてくれる成分になります。

この記事では、エビデンスにより明らかにされた睡眠やストレスに関する効果についてお話しします。

この記事の医師監修

中村剛
飯田橋中村クリニック院長
医学博士
日本泌尿器科学会専門医取得
日本泌尿器科学会指導医取得
東京都身体障害者福祉法指定医(じん臓機能障害、膀胱又は直腸機能障害)

不安解消/気分を高める

サフランは「陽気なスパイス」とも称されます。これはその特有の色彩だけでなく、気分を明るくする可能性があるからです。

複数の研究を検討した結果、サフランサプリメントは軽度から中程度のうつ症状の治療において、プラセボよりも有効であることが明らかになりました

さらに、他の研究で、毎日30mgのサフランの摂取は、うつ病の従来の治療法であるフルオキセチン、イミプラミン、シタロプラムと同じくらい効果的であったとされます。加えて、サフランからの副作用を経験した人は、他の治療法よりも少なかったと報告されています。

サフランの花びらと糸状の柱頭は、軽度から中程度のうつ病に対して効果的であるとされています。

このように、サフランはストレス改善や気分を高めることにより、軽度から中程度のうつ症状の治療に役立つ可能性があります。

これらは、赤みを出す色素クロシンがドーパミン分泌に影響してうつを防ぐと推測されています。

参考文献

Hausenblas HA, Saha D, Dubyak PJ, Anton SD. Saffron (Crocus sativus L.) and major depressive disorder: a meta-analysis of randomized clinical trials. J Integr Med. 2013 Nov;11(6):377-83. doi: 10.3736/jintegrmed2013056.

Noorbala AA, Akhondzadeh S, Tahmacebi-Pour N, Jamshidi AH. Hydro-alcoholic extract of Crocus sativus L. versus fluoxetine in the treatment of mild to moderate depression: a double-blind, randomized pilot trial. J Ethnopharmacol. 2005 Feb 28;97(2):281-4.

Kashani L, Eslatmanesh S, Saedi N, Niroomand N, Ebrahimi M, Hosseinian M, Foroughifar T, Salimi S, Akhondzadeh S. Comparison of Saffron versus Fluoxetine in Treatment of Mild to Moderate Postpartum Depression: A Double-Blind, Randomized Clinical Trial. Pharmacopsychiatry. 2017 Mar;50(2):64-68.

Shafiee M, Arekhi S, Omranzadeh A, Sahebkar A. Saffron in the treatment of depression, anxiety and other mental disorders: Current evidence and potential mechanisms of action. J Affect Disord. 2018 Feb;227:330-337.

睡眠へのポジティブな影響

サフランは、私たちの睡眠習慣を向上させることができる、驚くべきハーブ/スパイスです。

  1. 入眠時間の短縮と確保
    2018年の九州地域の共同研究では、クロシン0.6mgが含まれたサフラン錠を4週間毎日2錠摂取すると、サフラン摂取群の11人の被験者は入眠時間がプラセボ群と比べて短くなることがわかりました。また、サフラン摂取群の被験者は睡眠時間が増加し、一方でプラセボ群の被験者は減少しました。特に不眠症のある被験者間で顕著な差が観察されました
  2. 深い睡眠の増加
    深い眠りは、睡眠の質を高めるための鍵となります。研究にて、サフランのクロセチンは深い眠りの時間を増加させることが示されました。
  3. 睡眠の質と日常の気分の向上
    サフランは、睡眠の質を向上させるだけでなく、日中の気分や活動にもプラスの影響をもたらすことが示されています。

このように、特に入眠時間の短縮や深い睡眠の増加など、私たちの日常生活における健康的な睡眠習慣をサポートする役割が期待されています。

これらは、サフラナールがセロトニン分泌に影響して不安を軽減して睡眠改善効果があると推測されています。

参考文献

Akemi Nishide, et al.Sleep Enhancement by Saffron Extract in Randomized Control Trial.薬理と治療 Volume 46, Issue 8, 1407 – 1415 (2018)

Naofumi Umigai , Ryuji Takeda , Atsuko Mori. Effect of crocetin on quality of sleep: A randomized, double-blind, placebo-controlled, crossover study

Pachikian BD, Copine S, Suchareau M, Deldicque L. Effects of Saffron Extract on Sleep Quality: A Randomized Double-Blind Controlled Clinical Trial. Nutrients. 2021 Apr 27;13(5):1473.

サフランの副作用の安全性

サフランは、通常、副作用の少ない、安全な食材とされています。一般的な料理での使用量では、人体に有害な影響を及ぼすことは確認されていません。

サプリメントとしての摂取においては、1日1.5グラムまでのサフランは安全に摂取可能です。しかし、その健康効果を享受するためには、1日あたりの30mgの摂取(1ヶ月〜3ヶ月)だけで十分であると示されています。

一方、5グラム以上の高用量は有害な影響を及ぼす可能性があります。妊娠中の方は、流産のリスクがあるため、高用量の摂取は避けるべきです。

参考文献

Ranjbar H, Ashrafizaveh A. Effects of saffron (Crocus sativus) on sexual dysfunction among men and women: A systematic review and meta-analysis. Avicenna J Phytomed. 2019;9(5):419-427.

Sadi R, Mohammad-Alizadeh-Charandabi S, Mirghafourvand M, Javadzadeh Y, Ahmadi-Bonabi A. Effect of Saffron (Fan Hong Hua) On the Readiness of The Uterine Cervix In Term Pregnancy: A Placebo-Controlled Randomized Trial. Iran Red Crescent Med J. 2016 Jun 20;18(10):e27241.

勃起機能の向上

サフランは、その抗酸化作用や気分向上効果だけでなく、睡眠の質や量にもプラスの影響をもたらす可能性があることが、さまざまな研究で示されています。

ストレスが溜まっていたり、睡眠の質が悪い場合には、テストステロン分泌も抑えられ、交感神経が優位になってしまい血流も悪くなってしまうので、これが改善できることで、男性機能が必然的に向上するのです。

なので、心因性による勃起不全にもサフランではアプローチをすることが出来るのです。

実際に、研究によれば、サフランはこの性的欲求を高める働きがあることが示されており、特に抗うつ薬を服用している人々にその効果が顕著であるとされます。勃起不全を持つ男性が4週間にわたって毎日30mgのサフランを摂取した結果、プラセボを摂取したグループと比較して、明らかに勃起機能が向上したという報告があります

男性機能に関してサフランのエビデンスは、下記にて詳しく紹介しています。

参考文献

Modabbernia A, Sohrabi H, Nasehi AA, Raisi F, Saroukhani S, Jamshidi A, Tabrizi M, Ashrafi M, Akhondzadeh S. Effect of saffron on fluoxetine-induced sexual impairment in men: randomized double-blind placebo-controlled trial. Psychopharmacology (Berl). 2012 Oct;223(4):381-8.