レスベラトロールは、スチルベノイドと呼ばれるポリフェノールの一種です。この成分は、特に赤ブドウの皮や種に多く含まれています。驚くべきことに、この成分は植物がストレスを感じたときに生産する保護物質でもあります。植物はこの成分を使って、病気や強い太陽光などから身を守るんですね。
私たちがレスベラトロールを摂取すると、体内の有害な物質を排除するお手伝いをしてくれます。この効果は、アンチオキシダント(酸化を防ぐ物質)と似ています。
レスベラトロールは、人間の体で早く変わります。溶けやすく、様々な恩恵活動を持っています。実は、赤ワインの健康効果の背景の大きな一つにはこのレスベラトロールがあるんです。
では、レスベラトロールがどのような機能を持ち、どのくらい摂取すると効果的なのか、副作用があるのかなど詳しくお話しします。
この記事の医師監修
中村剛
飯田橋中村クリニック院長
医学博士
日本泌尿器科学会専門医取得
日本泌尿器科学会指導医取得
東京都身体障害者福祉法指定医(じん臓機能障害、膀胱又は直腸機能障害)
男性生殖機能
レスベラトロールは、男性の生殖能力に良い影響を与える可能性が示されています。適切な量のレスベラトロールにより、精子の運動性を高め、抗酸化効果によって精子のDNAを守る役割があるため、不妊サポートの役割を持っています。
また、トランス型レスベラトロールの研究にて、ラットを対象に対して、トランス型レスベラトロールを経口で与えた結果、視床下部、下垂体、そして生殖腺という一連の生体機能の刺激が観察され精子の生産量が増えたことが示されました。
これらの結果から、精子にとってポジティブな可能性をもたらすことが分かり、副作用も見られませんでした。
参考文献
Asian J Androl. 2013 Sep; 15(5): 646–651. Published online 2013 Jun 24. Resveratrol, an activator of SIRT1, restores erectile function in streptozotocin-induced diabetic rats
M. Emília Juan, Eulalia González-Pons, Thais Munuera, Joan Ballester, Joan E. Rodríguez-Gil, Joana M. Planas, trans-Resveratrol, a Natural Antioxidant from Grapes, Increases Sperm Output in Healthy Rats1, The Journal of Nutrition, Volume 135, Issue 4,
勃起機能
レスベラトロールは、勃起機能をポジティブサポートする可能性があります。
ラットを対象としたハーバード大学の実験で、レスベラトロールが、さまざまな老化疾患から保護すると考えられているタンパク質である「SIRT1」を活性化することによって機能することを示しました。
そして、「SIRT1」がNO生成酵素の一酸化窒素シンターゼを活性化することによって勃起機能をサポートすることが示されていることからも、男性機能にポジティブな期待ができます。
他の研究でも、レスベラトロールの投与により、平滑筋の状態が改善されることで男性機能をサポートすることがわかったことからもSIRT1の働きをサポートするレスベラトロールは有望であると考えられています。
参考文献
Yu W, Wang J, Dai YT, Wang B, Xu Y, Gao QQ, Xu ZP. Modulation of SIRT1 expression improves erectile function in aged rats. Asian J Androl. 2022 Nov-Dec;24(6):666-670.
Yu W, Dai Y. Resveratrol, an activator of SIRT1, restores erectile function in streptozotocin-induced diabetic rats. Transl Androl Urol 2015;4(S1):AB199.
レスベラトロールの健康サポート
神経のサポート
レスベラトロールは、アルツハイマーやハンチントンなどの神経関連の問題に対して、神経をサポートする機能を持っています。炎症を和らげたり、酸化ストレスから細胞を守ったりする能力を持ち、特定の経路を活性化して、ミトコンドリアの機能をサポートすることが報告されています。
心臓のサポート
レスベラトロールは、心臓の健康をサポートすることも示されています。心臓の細胞の能力を維持し、炎症を軽減し、特定の心臓の問題を和らげることが、研究で確認されています。
抗酸化能力
レスベラトロールの最も注目される特性は、抗酸化物質としての働きです。この特性は、その化学構造に関連しており、特定の位置にある官能基が影響していることが分かっています。
抗菌機能
レスベラトロールには、微生物の増殖を抑制する能力もあり、特にカンジダ・アルビカンスという真菌に対して、その効果が確認されています。
参考文献
Salehi B, Mishra AP, Nigam M, Sener B, Kilic M, Sharifi-Rad M, Fokou PVT, Martins N, Sharifi-Rad J. Resveratrol: A Double-Edged Sword in Health Benefits. Biomedicines. 2018 Sep 9;6(3):91.
副作用とリスク
基本的にレスベラトロールの研究で副作用を起こして体調をおかしくなるような報告はされておりません。なので適量を摂取する限りは副作用のリスクは低いとされています。
しかし、1日に2.5g(2500mg)以上の大量摂取は以下のような副作用を引き起こす可能性があります。実際に報告された副作用は「吐き気」「嘔吐」「下痢」「発熱」です。
なので、一気に大量摂取するよりも適量を摂取し続けることが望ましいです。
レスベラトロールをどのように摂取するか
レスベラトロールを安全に摂取する最も簡単な方法は、レッドワイン、ブドウ、ブルーベリー、ザクロ、これらの果物を含むジュースを通じて取り入れることが自然に摂取できます。
しかし、毎日継続的に摂取することは難しいと感じる方は少なくありませんので、サプリメントとして科学的に抽出したレスベラトロールを摂取している人が多く、自然に摂取するよりも高用量のレスベラトロールを含んでいる場合が多いです。
ただ、他のポリフェノールを同時摂取して多くの栄養素を同時に摂取するためには、レスベラトロールが配合されているレッドワインを含んだサプリメントを摂取する方法も一つです。
レスベラトロールの適切な摂取量
レスベラトロールの適切な摂取量は明確ではなく、専門家間で意見が分かれています。
研究データによると1日に10mg〜300mgの摂取によって、血管サポートをしてくれる期待ができます。
40人を対象に、レスベラトロールが3か月間、毎日10mg投与された結果、血流がよくなったことが示されました。また、悪玉コレステロールとして知られるLDLコレステロールの値も減少しました。
この研究から、1日に10mg〜レスベラトロールが心臓の一部の機能をサポートし、悪玉コレステロールの値を下げる効果があることが示唆されました。
しかし、人によってレスベラトロールの耐容量が異なりますが、10mgでのデータもあることからも少量からの摂取が望ましいです。
また、可能な限りレスベラトロールを科学的に抽出して摂取するよりも、ブドウやレッドワインなど天然由来成分からレスベラトロールを自然に摂取することができれば、他に含まれる豊富な成分も一緒に吸収サポートしてくれるので望ましいですね。
参考文献
Magyar K, Halmosi R, Palfi A, Feher G, Czopf L, Fulop A, Battyany I, Sumegi B, Toth K, Szabados E. Cardioprotection by resveratrol: A human clinical trial in patients with stable coronary artery disease. Clin Hemorheol Microcirc. 2012;50(3):179-87.