地中海式の食事は、心血管系の健康問題のリスクを軽減するのに理想的であるため、性的パフォーマンスと男性機能の健康をサポートする科学的根拠があります。
運動不足や栄養不足の場合はNOが体内で十分に作られず、NO不足により興奮時に血管が拡張して大きく硬くなれない可能性があります。ですが、地中海式の食事は、NO(一酸化窒素)と言い血管を拡張させる物質が豊富に含まれており、男性機能をサポートしてくれます。
研究にて、天然由来の地中海成分ではNOサポートの役割することがわかっており、週に最大5時間の早歩きと同じくらい男性機能に良いことを示しています。
また、科学的に成分抽出したものではなく、天然由来の成分なので微量栄養素から摂取することでより体を優しくサポートしてくれるのです。
なので、この記事では、NO系をサポートする天然由来の地中海成分を科学的根拠をもとにお話ししていきます。
参考文献
Cartledge J, Minhas S, Eardley I. The role of nitric oxide in penile erection. Expert Opin Pharmacother. 2001 Jan;2(1):95-107.
この記事の医師監修
中村剛
飯田橋中村クリニック院長
医学博士
日本泌尿器科学会専門医取得
日本泌尿器科学会指導医取得
東京都身体障害者福祉法指定医(じん臓機能障害、膀胱又は直腸機能障害)
天然のポリフェノール
地中海式の食事には、野菜やフルーツが豊富です。地中海食のポリフェノールの一種であるフラボノイドに焦点をあてたハーバード大学らの研究では、果物/赤ワインの総摂取量とEDリスクの低下が関連している事が示されました。(American Journal of Clinical Nutrition)
NOは、自然に身体に溜まってしまう活性酸素を除去ケアしてくれるため、NOは徐々に減少してしまい、本来の役目を果たす前にNOが不足してしまう場合があります。
しかし、体を守るポリフェノール成分を摂取することで、活性酸素に弱いNOをケアし、NO本来の力を発揮してくれるようになります。また、酵素(NOS)の活性をサポートする事でNOの産生サポートの役割も担ってくれるのです。
抗酸化作用がある成分を摂取する事でNOのケアだけでなく、酵素(NOS)の活性をサポート(ブースト)する2つの役割を担ってくれる可能性がある優れものです。
なので、地中海由来の天然成分はNO系サポート成分として最適です。
参考文献
安屋敷和秀,戸田 昇,岡村 富夫 NO 作動性神経と勃起障害 日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)119,21~28(2002).
The Role of Nitric Oxide in Erectile Dysfunction: Implications for Medical Therapy
レッドワイン
レッドワインは、黒ブドウの皮と種を使用して発酵させるため、他のワイン種類に比べてポリフェノールを豊富に含んでいることが知られています。特に、ポリフェノールの量は他のワインの10倍以上に及ぶと言われています。
最近の研究によれば、レッドワインに含まれるポリフェノールは、特定の身体的機能に関して肯定的な影響を与える可能性があると考えられています。特に、「Journal of Clinical Medicine」誌に掲載された2023年の報告においては、一日当たり15~30グラムの範囲での赤ワインの摂取が、健康な生活をサポートする可能性があると指摘されています。
この他にも、細胞レベルでの研究が行われ、レッドワインの成分が細胞内で一酸化窒素(NO)の活性を3倍に高めることが確認されました。一酸化窒素は、血管の働きに重要な役割を果たしています。
さらに、レスベラトロールというポリフェノールの一種が、NOの量を増やすのに重要であることが分かっています。8週間にわたるレスベラトロールの補給は、特定の身体的機能のサポートに寄与し、体内のSIRT1と呼ばれるタンパク質の増加を促し、NOを生産する酵素の働きをサポートしていることが示されています。
参考文献
Basile L, Condorelli RA, Calogero AE, Cannarella R, Barbagallo F, Crafa A, Aversa A, La Vignera S. Red Wine and Sexual Function in Men: An Original Point of View. Journal of Clinical Medicine. 2023; 12(12):3883.
Wallerath T, Poleo D, Li H, Förstermann U. Red wine increases the expression of human endothelial nitric oxide synthase: a mechanism that may contribute to its beneficial cardiovascular effects. J Am Coll Cardiol. 2003 Feb 5;41(3):471-8.
サフラン
サフランは、地中海沿岸原産で、非常に価値が高いとされるハーブの一種です。その有効成分として、クロシン、クロセチン、ピクロクロシン、サフラナールがあり、これらはカロテノイドという物質に属します。カロテノイドには抗酸化性があり、一酸化窒素(NO)の生成に寄与するとされています。
2019年に「Avicenna Journal of Phytomedicine」に掲載された研究レビューでは、サフランが男性の健康に与える影響を調査し、173名の参加者を対象に行われた5つの研究のデータが分析されました。その結果、統計的に有意なデータが得られたと報告されています。
カロテノイドは抗酸化物質の一種で、特に脂溶性が高いため水には溶けにくく油には溶けやすく、体内で効率的に機能しやすいと考えられています。
また、サフランは、日常的に感じるストレスの軽減やリラックスへの効果が期待されており、NOの生産に悪影響を与える活性酸素を軽減する助けとなるので、NOの生成サポートにも良い影響を与える可能性があります。
参考文献
Ranjbar H, Ashrafizaveh A. Effects of saffron (Crocus sativus) on sexual dysfunction among men and women: A systematic review and meta-analysis. Avicenna J Phytomed. 2019;9(5):419-427.
オリーブエキス
オリーブエキスは、地中海地域で育つオリーブの実から抽出される油分です。オリーブ葉には栄養素が豊富に含まれており、特に鉄分、カルシウム、ビタミンEの含有が目立ちます。オリーブ固有の成分である「オレウロペイン」というポリフェノールに関してのデータが注目を集めています。
このオレウロペインは一酸化窒素(NO)の生成を助ける作用があるとされ、NOを産生する酵素群の活性を高めることに貢献するとデータにより示唆されています。
オレウロペインのこの機能は、NOの生成を促進すると同時に、オリーブの抗酸化特性により、NOを守るサポートをすることで、その生成効率を高めるとも解釈されています。オリーブ成分が持つこれらの特性は、NOの役割を損なうことなく、身体が必要とするNOを十分に供給するためのメカニズムとして期待されています。
参考文献
Visioli F, Bellosta S, Galli C. Oleuropein, the bitter principle of olives, enhances nitric oxide production by mouse macrophages. Life Sci. 1998;62(6):541-546.
Bucciantini M, Leri M, Nardiello P, Casamenti F, Stefani M. Olive Polyphenols: Antioxidant and Anti-Inflammatory Properties. Antioxidants (Basel). 2021;10(7):1044. Published 2021 Jun 29.
ザクロ
ザクロはその栄養価の高さで注目を集めています。この果物は、ビタミン類やアミノ酸をはじめ、タンニン、アントシアニン、エラグ酸などの抗酸化物質を含むポリフェノールが豊富です。
専門誌「Nitric Oxide」に掲載された研究では、ザクロジュースが他のジュースや赤ワインと比較して、一酸化窒素(NO)を守る力が優れていることが確認されました。NOの生物学的作用を促進し、酸化による損傷から保護する可能性が示唆されています。
カリフォルニア州立大学の研究で、EDが改善した42人の中で25人が1ヶ月ザクロジュースを飲んだ事がわかりました。ザクロジュースの抗酸化物質により一酸化窒素レベルを高める事ができ勃起機能にポジティブな影響があります。
参考文献
Ignarro LJ, Byrns RE, Sumi D, de Nigris F, Napoli C. Pomegranate juice protects nitric oxide against oxidative destruction and enhances the biological actions of nitric oxide. Nitric Oxide. 2006;15(2):93-102.
Kazemirad H, Kazerani HR. Nitric oxide plays a pivotal role in cardioprotection induced by pomegranate juice against myocardial ischemia and reperfusion. Phytother Res. 2018 Oct;32(10):2069-2077.
緑茶
緑茶は、リラックスを促す成分「テアニン」を含んでおり、これがストレスの軽減に寄与するとされています。テアニンは、活性酸素—体内で一酸化窒素(NO)に影響を及ぼす要素—の影響を和らげることで、NOの体内での役割をサポートすると考えられています。
更に緑茶には、フラボノイド類の一つである「カテキン」が豊富です。心臓血管に関する国際学術誌「Basic Research in Cardiology」において、カテキンがNOの生成をサポートする可能性が示されています。
ラットを用いた研究では、緑茶の定期的な摂取が一定のサポートを提供すると示唆されており、これには特に男性機能の改善への効果が見られたと報告されています。
参考文献
Unno K, Noda S, Kawasaki Y, et al. Reduced Stress and Improved Sleep Quality Caused by Green Tea Are Associated with a Reduced Caffeine Content. Nutrients. 2017;9(7):777. Published 2017 Jul 19.
Lorenz M, Urban J, Engelhardt U, Baumann G, Stangl K, Stangl V. Green and black tea are equally potent stimuli of NO production and vasodilation: new insights into tea ingredients involved. Basic Res Cardiol. 2009;104(1):100-110.
Neves D, Assunção M, Marques F, Andrade JP, Almeida H. Does regular consumption of green tea influence expression of vascular endothelial growth factor and its receptor in aged rat erectile tissue? Possible implications for vasculogenic erectile dysfunction progression. Age (Dordr). 2008;30(4):217-228.
ビルベリー
ビルベリーは、北欧原産の野生種で、その中のアントシアニン含有量は、同じく健康維持に利用されるブルーベリーと比較して2倍から3倍と言われています。このアントシアニンは、フラボノイドの一つで、抗酸化作用や炎症対応に有益な役割を果たすことが知られており、特に身体の酸化を抑制する機能があります。
「American Journal of Clinical Nutrition」に発表された研究では、アントシアニンが特に男性の体調維持に対してプラスの影響を与える可能性が示唆されています。さらに、ビルベリーはビタミンCやビタミンEも高濃度に含んでおり、これらのビタミンは抗酸化力が強く、体内のNOが活性酸素によって影響を受けるのを守る役割を担います。
こうしたビルベリーの性質は、適切な摂取を通じて、体内環境のサポートを期待できることを示しており、健康維持に興味を持つ多くの人々にとって注目の対象となっています。しかし、これらの効果を過信せず、バランスの良い食生活の一環として摂取することが推奨されています。
参考文献
Neamtu AA, Szoke-Kovacs R, Mihok E, et al. Bilberry (Vaccinium myrtillus L.) Extracts Comparative Analysis Regarding Their Phytonutrient Profiles, Antioxidant Capacity along with the In Vivo Rescue Effects Tested on a Drosophila melanogaster High-Sugar Diet Model. Antioxidants (Basel). 2020;9(11):1067. Published 2020 Oct 30.
シトラスフルーツ
オレンジやグレープフルーツ、レモン、ライムといったシトラスフルーツである柑橘類は、体調維持に寄与するビタミンCを豊富に含んでいます。
ビタミンCは、体の中で効率よく働く一酸化窒素の量を増やす手助けをします。一酸化窒素は血管を広げる役割を持っているため、その量が適切に保たれることは大切です。さらに、一酸化窒素を作るために必要な酵素の活動もビタミンCが支える(生物学的利用能を高める)とされています。
具体的な研究結果としては、柑橘類の成分が血圧を適正な範囲に保つことや、頭の働きをサポートすること、心臓に関する病気のリスクを低下させることに寄与するかもしれないという点が挙げられています。これらのメリットは、一酸化窒素を高めて、バランスを整えることによりもたらされる可能性が高いと考えられます。
参考文献
Mortensen A, Lykkesfeldt J. Does vitamin C enhance nitric oxide bioavailability in a tetrahydrobiopterin-dependent manner? In vitro, in vivo and clinical studies. Nitric Oxide. 2014 Jan 30;36:51-7.
Uscio LV, Milstien S, Richardson D, Smith L, Katusic ZS. Long-term vitamin C treatment increases vascular tetrahydrobiopterin levels and nitric oxide synthase activity. Circ Res. 2003 Jan 10;92(1):88-95.
Ladurner A, Schmitt CA, Schachner D, Atanasov AG, Werner ER, Dirsch VM, Heiss EH. Ascorbate stimulates endothelial nitric oxide synthase enzyme activity by rapid modulation of its phosphorylation status. Free Radic Biol Med. 2012 May 15;52(10):2082-90.
まとめ
ここまでエビデンスが豊富な地中海由来のNO(一酸化窒素)サポート成分を紹介してきました。
これらの成分を摂取することができることが望ましいですが、毎日の継続することが難しい方も少なくありません。
なので、いつもより野菜や果物を多く摂取したり、天然由来の地中海成分が含まれる「サプリメントを活用する」のもメンズをサポートする一つの手段になります。
NO系成分も科学的に成分抽出したものではなく、天然由来成分からNO系成分を摂取できれば、微量栄養素から摂取することができるので、より体を優しくケアしてくれますね。