フラボノイドは、柑橘系の果物、緑茶、野菜など、多くの植物製品に含まれる化合物です。これらは抗酸化特性を持っており、様々な健康リスクを減少させる可能性があります。
この記事の医師監修
中村剛
飯田橋中村クリニック院長
医学博士
日本泌尿器科学会専門医取得
日本泌尿器科学会指導医取得
東京都身体障害者福祉法指定医(じん臓機能障害、膀胱又は直腸機能障害)
フラボノイドの主な働き
フラボノイドは、私たちの体内の細胞の動きを調整し、酸化ストレスを引き起こすフリーラジカルというものから体を守ります。言い換えれば、毎日の毒素やストレスから体を守りつつ、より効率的に体を動かしてくれるのです。
これらのフラボノイドは、体に悪影響を及ぼす可能性のある分子から体を守る抗酸化作用も持っています。
体の炎症は、アレルギーや細菌、毒素などによって引き起こされるもので、それが不快な症状をもたらします。フラボノイドはこの炎症反応を鎮める役割があり、症状を和らげる可能性があります。
そして、ポリフェノールの一種であるフラボノイドが豊富な食品でEDリスクを低減し、男性の健康に良い影響をもたらすことが、研究で明らかになりました。
主要なフラボノイドとその効果
フラボノイドは、ブルーベリーやチェリーに見られるアントシアニン、柑橘類に含まれるフラバノン、さらにパセリやタイムに見られるフラボンなど、多種多様です。特に、これらの成分が豊富に含まれる食品を定期的に摂取することで、勃起不全(ED)のリスクが低減する可能性があるのです。
実際、フラボノイドを多く摂取している男性は、EDのリスクが10%〜19%も低いというデータが示されました。これは、週に数回の摂取で実感できる効果だと、イースト・アングリア大学のエイディン・キャシディ博士が指摘しています。
食生活の中で意識的にフラボノイドを多く含む食品を取り入れることは、男性の健康をサポートする鍵となりそうです。果物や野菜を日常の食卓に取り入れるだけで、EDのリスクを減少させ、男性機能を高める可能性があるのです。
研究内容の詳細
ハーバード大学との共同での最新研究が、ED改善が期待できる地中海食のフラボノイドに焦点を当てました。フラボノイド豊富な食事が勃起不全(ED)の予防に効果的であることを示しています。
この研究では、キャシディ博士率いる研究チームは、25,096人の主に白人の男性の食事の習慣を4年ごとに調査。1998年当時、参加者はEDや各種がんの症状は認められなかった。
10年間のフォローアップの結果、参加者の約35.6%でEDが発症。しかしながら、特定のフラボノイド(フラボン、フラバノン、アントシアニン)の摂取が増えると、EDのリスクがそれぞれ9%、11%、9%低下したことが判明。
特に、ポリフェノールが豊富な果物を多く摂取していた男性群で、EDのリスクが14%減少。この効果は、週に2~5時間の歩行と同等とされています。
そして、フラボノイドが豊富な食品の摂取と運動を組み合わせると、リスクを 21% 減らすことができるとのことです。
さらに興味深いことに、70歳未満の男性において、フラボノイドの摂取がEDリスクの低下と強く関連していたことが確認されました。
キャシディ博士のグループは、フラボノイド豊富な食事と、適度な運動、適切な体重が、性的健康と心臓病のリスクを低減する鍵であると強調。特に、フラボノイドが勃起機能をサポートし、さらに糖尿病や心臓疾患のリスクも低減することが示唆されています。
EDリスク低減以外のフラボノイドの健康サポート
高血圧のリスク低減
フラボノイドには血圧を正常化する働きがあるとされています。2015年に公開されたレビューによれば、フラボノイドが高血圧を下げることが示されています。
心臓病リスクの低減
フラボノイドは、心筋梗塞や脳卒中のリスクを減少させる効果が考えられています。「Journal of Translational Medicine」で発表された研究によれば、食事の中でフラボノイドを多く摂取している人は、心臓疾患のリスクが低いことが示されています。
2型糖尿病リスクの低減
フラボノイドの摂取は、2型糖尿病のリスクを減少させる可能性があります。2018年のメタ分析の結果、フラボノイドの摂取が2型糖尿病のリスクを低減することが示唆されています。
まとめ
食事の中でフラボノイドを積極的に摂取することで、男性の健康、特に勃起機能の維持に役立つ可能性があることが明らかになりました。
紹介した研究でも、地中海由来のフラボノイドに着目したように、柑橘系の果物、ベリー、ぶどう、緑茶、野菜など、多くの地中海式の食事に含まれています。
なので、いつもより野菜や果物を多く摂取したり、「天然由来の地中海成分が含まれるサプリメントを活用する」のもメンズをサポートする一つの手段になりますね。
野菜やフルーツが豊富なライフスタイルを意識して、健康サポートをしてきましょう。
参考文献
Blueberries, citrus fruits, red wine associated with reduced erectile dysfunction.University of East Anglia.January 13, 2016
Cassidy A, Franz M, Rimm EB. Dietary flavonoid intake and incidence of erectile dysfunction. Am J Clin Nutr. 2016 Feb;103(2):534-41. doi: 10.3945/ajcn.115.122010. Epub 2016 Jan 13.
Clark JL, Zahradka P, Taylor CG. Efficacy of flavonoids in the management of high blood pressure. Nutr Rev. 2015 Dec;73(12):799-822.
Ponzo, V., Goitre, I., Fadda, M. et al. Dietary flavonoid intake and cardiovascular risk: a population-based cohort study. J Transl Med 13, 218 (2015).
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